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GKリザーバーにつき、SS無し
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SS置き場 長編SS (長期連載、シリーズ物など) 短編SS (読み切り、ショートショート、会話形式SSなど)
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テレビアニメ ★は公式サイト 2000年 幻想魔伝 最遊記(百眼魔王の手下) → ★ 2001年 学園戦記ムリョウ(宮ノ森中部員B)→ ★ 2002年 朝霧の巫女(天津忠尋)→ ★ Weiß kreuz Glühen(役名表記なし)→ ★ フォルツァ!ひでまる(ゴルボ)→ ★ プリンセスチュチュ(ミーアキャット郎)→ ★ (キッズステーション) 名探偵コナン(レスキュー隊員)→ ★ 2003年 宇宙のステルヴィア(音山光太)→ ★ (テレビ東京) 、 ★ (キングレコード) スクラップド・プリンセス(クリストファ・アーマライト(クリス))→ ★ D・N・ANGEL(エリオット)→ ★ フルメタル・パニック?ふもっふ(小島)→ ★ (フジテレビ) ポケットモンスター アドバンスジェネレーション(フウ)→ ★ ポポロクロイス(ビリー)→ ★ 2004年 SDガンダムフォース(ブルードーガ)→ ★ 陰陽大戦記(香美屋リュージ、柊のトウベエ)→ ★ ごくせん(木下)→ ★ この醜くも美しい世界(竹本タケル)→ ★ 砂ぼうず(水田渡)→ ★ PAPUWA(名古屋ウィロー)→ ★ 火の鳥(アダム)→ ★ マーメイドメロディーぴちぴちピッチピュア(天城リヒト)→ ★ 2005年 まじかるカナン(ハヅナ)→ ★ MAJOR 2nd season(西中選手) → ★ 2006年 学園ヘヴン BOY S LOVE HYPER!(小澤渉)→ ★ 女子高生 GIRLS-HIGH(下高谷孝則)→ ★ バーテンダー(佐々倉溜)→ ★ 爆球Hit! クラッシュビーダマン(美吉数馬)→ ★ 働きマン(編集者B)→ ★ 2007年 一騎当千 Dragon Destiny(張遼文遠)→ ★ キミキス pure rouge(相原一輝)→ ★ 月面兎兵器ミーナ(佐々木流)→ ★ さよなら絶望先生(久藤准、たかし、元・関内太郎)→ ★ 瀬戸の花嫁(満潮永澄)→ ★ D.Gray-man(ボブ)→ ★ 天元突破グレンラガン(テツカン、ギンブレー)→ ★ TOKYO TRIBE2(書記長)→ ★ ロミオ×ジュリエット(ロミオ)→ ★ 2008年 ARIA The ORIGINATION(アンリ)第3話 →★? コードギアス 反逆のルルーシュR2(ロロ・ランペルージ)→ ★ ゴルゴ13(リッチー)第25話 → ★ 俗・さよなら絶望先生(久藤准、芳賀、(第6話後半部分のみ)糸色望)→ ★ 地獄少女 三鼎(犬尾篤志)第7話 → ★ 絶対可憐チルドレン(豚郎)第21話 → ★ タイタニア(エルウィン)第5話 → ★ のらみみ(アスナロ)第6話 → ★ ひだまりスケッチ×365(ゆのの父、男性タレント、霊能者)→ ★ モノクローム・ファクター(立山紅葉)第16話 → ★ ヤッターマン(第2作)(綱吉)第27話 → ★ 我が家のお稲荷さま。(高上昇)→ ★ 2009年 アラド戦記~スラップアップパーティー~(アルベルト)第9話→ ★ 、 テレビ東京 イナズマイレブン(基山ヒロト)第36話→ ★ 天元突破グレンラガン(テツカン)第10~15話?→ ★ 忍たま乱太郎 第17シリーズ(智吉)→ ★ 名探偵コナン(屋田誠人)第521、522話→ ★ MAJOR 5th season(笠倉、ロムス、韓国代表監督、他端役レギュラー)→ ★ OVA 獄・さよなら絶望先生(久藤准)→ ★ 瀬戸の花嫁 OVA 仁(満潮永澄)→ ★ 天罰エンジェルラビィ☆(ルカ)→ ★ ねとらん者 THE MOVIE(ひろゆき) 劇場版アニメ 犬夜叉 天下覇道の剣 パルムの樹(ゲリラ) 劇場版MAJOR メジャー 友情の一球(ウィニングショット)(アナウンス)→ ★ 八月のシンフォニー(中井 文人)→ ★ (音量注意)
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敗退キャラ全員資格ありの一斉投票ベスト35エキシビジョン 投票规则 投票结果 投票规则 投票时间 9/20 1 00~9/20 23 00(日本时间) 票额 1人最多为5名角色投票 CODE 必须 格式 角色名@作品名 参选角色 本战以后败退角色 补充 投票地点与最萌本战一致 投票结果 有効コードがある票の順位 1位 22票 秋山澪@けいおん! 2位 18票 ホロ@狼と香辛料II 3位 14票 インデックス@とある魔術の禁書目録 4位 13票 雨宮優子@ef - a tale of melodies. 5位 12票 龍門渕透華@咲 -Saki- 5位 12票 新藤千尋@ef - a tale of melodies. 5位 12票 川嶋亜美@とらドラ! 8位 10票 諫山黄泉@喰霊 -零- 9位 9票 月島きらり@きらりん☆レボリューション 10位 8票 琴吹紬@けいおん! 10位 8票 坂上智代@CLANNAD ~AFTER STORY~ 10位 8票 サーニャ・V・リトヴャク@ストライクウィッチーズ 10位 8票 御坂美琴@とある魔術の禁書目録 14位 7票 平沢憂@けいおん! 14位 7票 エイラ・イルマタル・ユーティライネン@ストライクウィッチーズ 14位 7票 古手梨花@ひぐらしのなく頃に礼 17位 6票 瀬川泉@ハヤテのごとく!! 17位 6票 キャル・ディヴェンス@Phantom ~Requiem for the Phantom~ 17位 6票 竹井久(部長)@咲 -Saki- 17位 6票 一ノ瀬ことみ@CLANNAD ~AFTER STORY~ 17位 6票 羽山ミズキ@ef - a tale of melodies. 22位 5票 久寿川ささら@ToHeart2 adplus 22位 5票 土宮神楽@喰霊 -零- 22位 5票 アイン(エレン)@Phantom ~Requiem for the Phantom~ 22位 5票 宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ 26位 4票 イサラ・ギュンター@戦場のヴァルキュリア 26位 4票 白河ことり@D.C.if ~ダ・カーポ イフ~ 26位 4票 国広一@咲 -Saki- 26位 4票 神楽@銀魂 26位 4票 柊つかさ@らき☆すたOVA 31位 3票 青葉つぐみ@かんなぎ 31位 3票 諫山冥@喰霊 -零- 31位 3票 イース/東せつな(キュアパッション)@フレッシュプリキュア! 31位 3票 南春香@みなみけ おかえり 31位 3票 泉こなた@らき☆すたOVA 31位 3票 C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュR2 31位 3票 片桐優姫@あかね色に染まる坂 31位 3票 藤林椋@CLANNAD ~AFTER STORY~ 31位 3票 鷹野三四@ひぐらしのなく頃に礼 31位 3票 森下こよみ@よくわかる現代魔法 31位 3票 北条沙都子@ひぐらしのなく頃に礼 31位 3票 汐王寺茉莉花@まりあ†ほりっく 31位 3票 緒方理奈@WHITE ALBUM 31位 3票 春原芽衣@CLANNAD ~AFTER STORY~ 31位 3票 南夏奈@みなみけ おかえり 31位 3票 アリシア・メルキオット@戦場のヴァルキュリア 31位 3票 エーリカ・ハルトマン@ストライクウィッチーズ 31位 3票 上柿恵@咲 -Saki- 31位 3票 ざんげちゃん(涼城白亜)@かんなぎ 31位 3票 伊藤千佳@苺ましまろ encore 51位 2票 ゲルトルート・バルクホルン@ストライクウィッチーズ 51位 2票 新藤景@ef - a tale of melodies. 51位 2票 御坂妹(御坂10032)@とある魔術の禁書目録 51位 2票 黒主優姫@ヴァンパイア騎士 Guilty 51位 2票 宮沢有紀寧@CLANNAD ~AFTER STORY~ 51位 2票 小森霧@【獄・】さよなら絶望先生 51位 2票 綾小路華恋@あかね色に染まる坂 51位 2票 塚本八雲@スクールランブル 三学期 51位 2票 神凪いつき(下山むつみ)@宇宙をかける少女 51位 2票 椎名観月@あかね色に染まる坂 51位 2票 式波・アスカ・ラングレー@ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破 51位 2票 座敷童@xxxHOLiC 春夢記 51位 2票 シャーリー・フェネット@コードギアス 反逆のルルーシュR2 51位 2票 メロン@アキカン! 51位 2票 恋ヶ窪ゆり@とらドラ! 51位 2票 日塔奈美@【獄・】さよなら絶望先生 51位 2票 柊かがみ@らき☆すたOVA 51位 2票 園崎詩音@ひぐらしのなく頃に礼 51位 2票 リネット・ビショップ@ストライクウィッチーズ 51位 2票 フェリ・ロス@鋼殻のレギオス 51位 2票 山中さわ子@けいおん! 51位 2票 エムエム(ケメコ)@ケメコデラックス! 51位 2票 貴嶋サキ@ハヤテのごとく!! 51位 2票 櫻井雪乃@Candy boy 51位 2票 加治木ゆみ@咲 -Saki- 51位 2票 蒲原智美@咲 -Saki- 51位 2票 諸葛亮(朱里)@恋姫†無双 51位 2票 ペリーヌ・クロステルマン@ストライクウィッチーズ 51位 2票 ナナリー・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2 51位 2票 坂本美緒@ストライクウィッチーズ 51位 2票 関羽(愛紗)@恋姫†無双 51位 2票 近衛木乃香@魔法先生ネギま! ~白き翼 ALA ALBA~ 51位 2票 古河早苗@CLANNAD ~AFTER STORY~ 51位 2票 宮永照@咲 -Saki- 51位 2票 竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に礼 51位 2票 吉野屋先生@ひだまりスケッチ×365 87位 1票 広野凪@ef - a tale of melodies. 87位 1票 朝倉涼子(あちゃくらりょうこ)/あしゃくら@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱/にょろーん☆ちゅるやさん 87位 1票 ファティナ@ドルアーガの塔 ~the Sword of URUK~ 87位 1票 河合ほのか@宇宙をかける少女 87位 1票 皇神楽耶@コードギアス 反逆のルルーシュR2 87位 1票 木津千里@【獄・】さよなら絶望先生 87位 1票 日下部みさお@らき☆すたOVA 87位 1票 ラン@しゅごキャラ! シリーズ 87位 1票 北条國子@シャングリ・ラ 87位 1票 ニーナ・アントーク@鋼殻のレギオス 87位 1票 銭形巡@瀬戸の花嫁OVA 87位 1票 ケイコ@みなみけ おかえり 87位 1票 アリソン・ウィッティングトン@アリソンとリリア 87位 1票 乱崎千花@狂乱家族日記 87位 1票 梅枝ナオミ@絶対可憐チルドレン 87位 1票 小牧愛佳@ToHeart2 ad 87位 1票 泉戸ましろ@タユタマ -Kiss on my Deity- 87位 1票 紅月カレン@コードギアス 反逆のルルーシュR2 87位 1票 宮崎のどか@魔法先生ネギま! ~白き翼 ALA ALBA~ 87位 1票 綾波レイ@ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破 87位 1票 ティファニア・ウエストウッド@ゼロの使い魔 ~三美姫の輪舞~ 87位 1票 風浦可符香(P・N)@【獄・】さよなら絶望先生 87位 1票 山吹祈里(キュアパイン)@フレッシュプリキュア! 87位 1票 趙雲(星)@恋姫†無双 87位 1票 リアンノン@ティアーズ・トゥ・ティアラ 87位 1票 月海@セキレイ 87位 1票 マリナ・イスマイール@機動戦士ガンダム00 87位 1票 智花@ひだまりスケッチ×365 87位 1票 吉野@みなみけ おかえり 87位 1票 朝風理沙@ハヤテのごとく!! 87位 1票 結@セキレイ 87位 1票 乃木坂春香@乃木坂春香の秘密 87位 1票 アルルゥ@OVA うたわれるもの 87位 1票 桂雪路@ハヤテのごとく!! 87位 1票 七海アオ@夜桜四重奏 ~ヨザクラカルテット~ 87位 1票 相楽美佐枝@CLANNAD ~AFTER STORY~ 87位 1票 九重りん@こどものじかん 2学期 87位 1票 ランカ・リー@マクロスFRONTIER 87位 1票 柊まいん@クッキンアイドル アイ!マイ!まいん! 87位 1票 やよゐ@夏のあらし! 87位 1票 草野(くーちゃん)@セキレイ 87位 1票 佐々木まき絵@魔法先生ネギま! ~白き翼 ALA ALBA~ 87位 1票 宮子@ひだまりスケッチ×365 87位 1票 佐倉美咲@我が家のお稲荷さま。 87位 1票 如月美冬@タユタマ -Kiss on my Deity- 87位 1票 上下山虎子@ヒャッコ 87位 1票 宮前かなこ@まりあ†ほりっく 87位 1票 両儀式@劇場版 空の境界 the Garden of sinners 87位 1票 多軌透@続 夏目友人帳 87位 1票 結木やや@しゅごキャラ! シリーズ 87位 1票 シエスタ@ゼロの使い魔 ~三美姫の輪舞~ 87位 1票 沢近愛理@スクールランブル 三学期 87位 1票 吉留未春@咲 -Saki- 87位 1票 鏡黒@こどものじかん 2学期 87位 1票 鴫守(六瓢ちゃん)@我が家のお稲荷さま。 87位 1票 神裂火織@とある魔術の禁書目録 87位 1票 澪@絶対可憐チルドレン 87位 1票 チアキ@シゴフミ 87位 1票 赤夜萌香@ロザリオとバンパイア CAPU2 87位 1票 加賀愛@【獄・】さよなら絶望先生 87位 1票 ユギリ・ペルセルテ@神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS 87位 1票 天空寺なじみ@アキカン! 87位 1票 小節あびる@【獄・】さよなら絶望先生 87位 1票 クーパ@ドルアーガの塔 ~the Sword of URUK~ 87位 1票 嵩月奏@アスラクライン 87位 1票 灰原哀@名探偵コナン 87位 1票 平川ナツミ@今日の5の2 87位 1票 クロミ@おねがい♪マイメロディ きららっ★ 87位 1票 ぶど子@アキカン! 87位 1票 嵐山小夜子@夏のあらし! 87位 1票 妹尾佳織@咲 -Saki- 87位 1票 天宮椎菜@乃木坂春香の秘密 87位 1票 ラストオーダー@とある魔術の禁書目録 87位 1票 ゆの@ひだまりスケッチ×365 87位 1票 西連寺春菜@To LOVEる 87位 1票 長瀬湊@あかね色に染まる坂 87位 1票 早川美咲@ケメコデラックス! 87位 1票 花菱美希@ハヤテのごとく!! 87位 1票 曹操(華琳)@恋姫†無双 87位 1票 鶴屋さん/ちゅるやさん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱/にょろーん☆ちゅるやさん 87位 1票 キョンの妹@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱 87位 1票 愛沢咲夜@ハヤテのごとく!! 87位 1票 結城美柑@To LOVEる 87位 1票 真鍋和@けいおん! 87位 1票 フランチェスカ・ルッキーニ@ストライクウィッチーズ 87位 1票 白井黒子@とある魔術の禁書目録 87位 1票 カミュ@OVA うたわれるもの 87位 1票 一ノ瀬・弓子・クリスティーナ@よくわかる現代魔法 87位 1票 南冬馬@みなみけ おかえり
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7月7日。七夕。夜。 「はぁ・・・」 腐川冬子は1人、屋上にいた。 ちらり、と横を見る。横には超高校級の植物学者だかが作った巨大な竹が風に揺られていた。 そこには、高校生にもなってはしゃぎながら書いていた短冊が吊るされている。 『背が伸びますように』 『ミュージシャンになりてえ!』 『もっと強くなりたいです。よろしくお願いします。』 という純粋な願いや 『金をくれたら、いつでも会えるようにしてやるべ』 『ドーナツいっぱい!おいしいよ!!』 『ぶー子たんハァハァ(絵付き)』 という願いなのかよくわからない落書きが、風になびいていた。 「はぁ・・・」 何回目のため息なのだろう。空を見上げながら腐川は思う。 ――悲劇の恋人だなんて、愛を伝えられるだけでいいじゃない ひねくれているな、と自分が嫌になる。けれどそう思いたい。 会えないだけで悲劇なのなら、思いを伝えられないのは何なのかと。 勇気がなくて思いを伝えられないのではない。伝えれるものなら今すぐにでも伝えたい。 違う、あたしは思いを伝える事を許されない存在なのだ。 無意識に左太ももをかきむしる。痛みなんてそんなの関係ない。 ―――悔しい。悔しくてたまらない。どうしてあたしが、何であたしが。 憎い。【あいつ】が。なんで【あいつ】はあたしなの?【あいつ】のせいであたしは何もできない。 家族と触れ合うことも、友達を作ることも、好きな人に思いを伝えることもできない。 何故か?それは怖いからだ。 心を許した相手が【あいつ】によって殺されてしまう可能性があるから。 それが嫌だから。誰かが死ぬのは嫌だから。 だからあたしは――― 「おい」 「っひっ!」 背後から声をかけられた。何かと思えばそこには 「と、十神君っ・・・!?」 十神白夜が立っていた。 「ななななな何!?」 まさかの状況に頭が混乱し、思わず強く言ってしまった。 後悔しかけた時、十神が横に来る。距離を保とうとするが足がもつれ、うまく動かない。 無理やり動いてこけた場合、【あれ】を見られると困る。 「っぐぅ・・・」 結局、十神と並んでいることになった。 「ふん、俺といるのが嫌か」 「そ!んなわけない・・・です」 「ふん、当たり前だな。この俺がわざわざ隣にいてやってるんだ。感謝しろ」 と、どや顔そのものでこちらを見る。 「う?あぇ・・・はい」 と一応頭を下げるほかない。 そして沈黙。沈黙。沈黙だけしかない。 「あ・・・のぉ・・・」 息苦しさから逃げ出そうと口を開いたのもいいが、何も話題が見つからなかった。 「あの・・・えっと・・・」 再び後悔しかけた時、腐川の視界に風に揺れる竹が写る。 「七夕・・・あっ、お願いは?」 十神はちらりと竹を見、口を上げながら答えた。 「世界征服だ」 「うぇ?」 冗談なのか本気なのか迷おうとしたが、十神の目はどう見ても本気だった。 「くく・・・短冊に願いなど子供の遊びだがな。仕方なしに付き合ってやったんだ。 俺の願いはただ一つ。十神の繁栄だけだ。 無駄に生き残ってるやつらがいるからな。そいつらが消えれば十神は繁栄する、 すなわち世界は十神一色、世界を征服することになる。」 「はぁ・・・」 「ふん、俺が答えてやったんだ。お前は何を願った?」 「あ・・・たしは」 見せれない。 子供みたいで、馬鹿みたいで、意味が分からない願いを書いてしまったのだ。 まさかこういう展開になるとは思わなかったため、つい書いてしまった。 やばい、かなりやばい。 答えようとしない腐川に痺れを切らしたのか、十神は飾っている短冊を見ようとする。 「だ、だめ!笑う!」 制止する腐川の手を振り払い、十神は一つ一つの短冊を見ていく。 しばらくすると、十神の動きが止まる。手には紫色の一枚の短冊があった。 十神はじっとその短冊を見つめている。 「あ・・・あの」 「ふん・・・笑う、だと?」 地が身は短冊から手を離し、腐川に背を向ける。 「人の願いなど誰にも笑う権利などない。それとも俺は笑うと思ったか?」 「そ、んな・・・こと・・・」 十神は「はん」と鼻で笑い、立ち去ろうとする。 が、立ち止まり振り向かずに行った。 「お前はお前だ」 「っ!」 「くく・・・独り言を盗み聞きするなどいい度胸だな。まぁ、それがお前だがな」 その言葉で何かが変わった、そんな気がした。 ずっと塞ぎ込んでいたものが蒸発するように消え、身体が軽くなる。 それが心地よくて、気持ちよくて、温かかった。 そして気付いた。自分は逃げていたのだ。【あいつ】から。 【あいつ】を理由にあたしはずっと逃げていた、なんて愚かなんだろう。 よりにもよって、一番バレたくない相手に気付かされるだなんて。 「あ・・・」 我に返ると、もうそこに十神はいなかった。 「十神君っ・・・」 考えるよりも身体が先に動く。どこにいるのかは分からない。だけど、言わないと。 何を?分からない。それでも、どうしようもない感情が腐川を動かしていた。 「あっ、腐川ちゃん!」 十神の部屋の前に朝日奈というおっぱい女が立っていた。 「探してたよ、ちょうどいい!後は・・・ね、十神知らない?」 「し、知らないわよ・・・」 むしろ探してるなんて言えない。何で探してるのとか聞かれるに決まっている。 「そっかー、どぉこ行ったんだろうね!」 「な、何。探してんの・・・?」 「うん!せっかくの七夕だもん!十神に彦星のコスプレしてもらおうと思ってさー」 「コ・・・スプレ?」 何故コスプレなのか。と、いうより・・・ 「おおおお織姫は誰なのよ」 「腐川ちゃん!」 「うぇえ!?」 聞いてない、そんなこと。というか、いつの間に決まったのだ。 「山田がね、勝手に決行したんだ。まー面白そうだからいいかなーと! 衣装は山田がちゃんと用意してるんだって。 ちなみにキャスティングはくじ引きです。引いたのは苗木ね」 まさかの展開。本人がいない間に何を勝手に決めて、しかも進めていたのだろうか。 「むむむむむむむ無理よぉ!!!」 そう叫び、腐川は走り去る。朝日奈の「あっ、まてー!」という制止など知らない。 ああ、分かった。何故と十神がわざわざ自分なんかと一緒にいたのか。 ただクラスメイトの魔の手から屋上に逃げてきただけだ。そこに偶然あたしがいただけのこと。 馬鹿馬鹿しい。だけど、どこか嬉しかった。 走りながら無意識に腐川は呟く。 「白夜、君・・・」 夜。屋上。 江ノ島盾子はにんまりと笑いながら仁王立ちで立っていた。 周りに誰もいないのを確認すると、深呼吸し叫ぶ。 「さあ、始まりました!ワックワクドッキドキのお晒しターイム!」 鼻歌を歌いながら、飾られている短冊を一枚一枚見ていく。 「まずは『背が伸びますように』。 あー・・・そうですよね・・・高校男子のくせに160cmなんて絶望ですよね・・・ 次は・・・『大切な人の病が治りますよう』。 大切な人、ふむ。素晴らしい願いですね。叶うかどうかは知りませんが。 次です。『レーション山盛り』。 あぁん、バレバレだよぉ!願いまで残念ってぇ、最高に絶望なお姉ちゃん! 次はぁー・・・ん?」 思わず素に戻る江ノ島。 そしてニタリと笑う。 「面白い願いだね・・・うぷぷぷ」 江ノ島が手にする短冊は紫色。そこには弱弱しい文字でこう書かれていた。 『自分』 そしてその裏には乱暴な文字でこう書かれていた。 『アンタはアンタ!だってアタシはアタシだもーん!』
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小泉花陽 詳細にはネタバレが含まれます スレタイ キャラクター 詳細 備考 日付 【ラブライブ】ユニバーサルかよちんモーメント 花陽・真姫・凛・他 詳細 関連作有 20150114 花陽「今日からオンボロノ木坂学院に復学です…!」 μ’s 詳細 20141202 GOHAN-YA店員「いらっしゃいませー」 穂乃果・花陽 詳細 20150520 花陽「真姫ちゃんのおしり美味しそう」 花陽・穂乃果・真姫 詳細 関連作有 20140826 【SS?】穂乃果「うんち漏らしち 花陽・穂乃果 詳細 関連作有 20140915 穂乃果「真姫ちゃんのおしりってしっとりしてるよね」 花陽・穂乃果・真姫 詳細 関連作有 20140918 凛「凛もちんぽこイクにゃ~」 詳細 関連作有 20150210 花陽「ちんぽこ...」 詳細 関連作有 20150217 【SS?】凛「馬から白い液体が出たにゃ」花陽「それは......」 花陽・凛・真姫 詳細 関連作有 20150317 花陽「やる気が無いなら辞めてください!」 詳細 シリアス・感動 20150404 花陽「この木 何の木 西木野真姫」 花陽・真姫 詳細 まきぱな 20140129 花陽「ふぅ……今日も力を使いすぎちゃいましたね」 花陽 詳細 りんぱな・コメディ 20150606 花陽「穂乃果ちゃん」穂乃果「なーに?」 穂乃果・花陽 詳細 ほのぱな 20150416 花陽「凛ちゃんの首を絞めるの?そんなのできないよ……」 花陽・凛 詳細 りんぱな 20150815 花陽「あれ…ここどこだろう」 花陽・凛 他 詳細 冒険・バトル 20150807 花陽「絵里ちゃん、私も連れていって」 絵里・花陽 他 詳細 シリアス 20150825 花陽「え、お米が喋ってる?」 花陽 詳細 コメディ・関連作有 20150729 花陽「お酒……お酒……」 花陽・にこ 詳細 りんぱな 20150827 【SS】かよちんVSマーボーどうふ 花陽・穂乃果 詳細 20150923 花陽「ぼこぼこです!」 花陽 他 詳細 コメディ・バトル 20150831 花陽「かよちんレズちんノンケちん」 花陽 ・凛 詳細 安価 20150704 花陽「すごく美味しいラーメン屋さんがあったよ!」凛「ほんと!?」 凛・花陽 詳細 コメディ・ほのぼの 20151007 花陽「その柔らかな細腕で」 花陽・凛 詳細 りんぱな・短編・鬱 20141126 花陽「こうなるまでのお話」 花陽・海未 詳細 うみぱな・恋愛 20140821 花陽「凛ちゃんには言えないよ。」 花陽・海未 他 詳細 うみぱな・恋愛 20141127 花陽「イソギンチャク」 花陽・海未 他 詳細 うみぱな・恋愛 20150809 花陽「海未…お姉さま」海未「!?」 花陽・海未 他 詳細 うみぱな 20141001 花陽「あれは…わ、私!?」かよちん「えへへ//」 花陽・花陽 詳細 20151024 花陽「理事長とランニング」 花陽・理事長 詳細 ほのぼの 20151113 花陽「音ノ木坂を卒業後、防衛大学校に進学しました」 花陽・にこ 詳細 20151110 刑事「お前を犯罪収益移転防止法で逮捕する」花陽「ちょっと、待って!」 花陽・にこ 詳細 20151123 【SS】かよちんクエストIII ――そして伝説へ―― 花陽 詳細 ほのぼの 20151123 花陽「凛ちゃんがスカートを着たら世界が滅びた」 花陽・μ’s 詳細 20160101 【SS】花陽(どうやら花陽は殺されるみたいです) ことり・花陽 詳細 コメディ・ことぱな 20160109 花陽「ハムッ!おにぎりうまうまです!」ブッ! μ's「!」 μ’s 詳細 コメディ 20160117 花陽「YoYoYo!!」 花陽・μ’s 詳細 コメディ 20160216 穂乃果「花陽ちゃんってお兄ちゃんいるの?」花陽「そうだよ」 花陽 他 詳細 短編・画像有 20160226 花陽「憧れの大学生活!」凛「新歓コンパ!」 凛・花陽 詳細 20140516 穂乃果「助けないよ……絶対に」 花陽・μ’s 詳細 コメディ 20131122 花陽「私だけのアイドル」 花陽・穂乃果 詳細 ほのぱな 20160331 花陽(27)「にこにー弁当屋?」 花陽・にこ 詳細 にこぱな・ほのぼの 20160402 にこ「にこにー弁当屋!」花陽「花陽先輩、ですよ!」 花陽・にこ 詳細 えりぱな・ほのぼの 20160404 花陽「寿司に溺れるJKです…」 花陽 詳細 コメディ 20160406 小泉花陽「動かないでくださいねっ」 花陽 詳細 恋愛・ほのぼの 20140728 にこ「にこにー弁当屋!」穂乃果「今日のおすすめはほの弁だよっ!」 花陽・にこ・穂乃果 詳細 ほのぼの 20160406 にこ「にこにー弁当屋!」海未「今日の新商品です!」 花陽・にこ・海未 詳細 短編・ほのぼの 20160408 にこ「にこにー弁当屋!」花陽「in名古屋!」 花陽・にこ 他 詳細 にこぱな・ほのぼの 20160410 花陽「はぁ…また穴に落ちちゃった…」 花陽・凛 詳細 りんぱな・ほのぼの 20160414 花陽「道端のたんぽぽですっ!」 花陽 詳細 ほのぼの 20160420 花陽「ポケットモンスター りんちゃん」凛「ポケットモンスター かよちん」 凛・花陽 詳細 りんぱな・ほのぼの 20160421 花陽「あーしたてんきになあれ」 花陽・凛・真姫 詳細 ほのぼの 20160309 花陽「また目が悪くなってきたよぉ……もうレーシックしちゃおうかな?」 花陽・真姫 詳細 短編・ホラー 20160502 真姫「久しぶりね」 真姫・花陽 他 詳細 まきぱな 20160419 花陽「GOHAN-YA2号店が開店しました!」穂乃果「花陽ちゃん、今週は大盛り無料だよ」 穂乃果・花陽 詳細 ほのぱな・ほのぼの 20160505 「花夜食堂」 花陽・雪穂 詳細 ほのぼの 20160508 花陽「アリを燃やす」 花陽・μ’s 詳細 20160521 花陽「デパートの特設会場にやってきました!」 花陽・絵里 詳細 短編・えりぱな・ほのぼの 20160604 【SS】ザリガニハンターかよちん 花陽・絵里 詳細 短編 20160605 花陽「幽霊にこちゃん」 花陽・にこ 詳細 にこぱな・ほのぼの・感動 20160531 【閲覧注意】オコメパステスト【ラブライブ!】 花陽・穂乃果 詳細 短編 20160603 小料理居酒屋 こいずみ 花陽・絵里・穂乃果 詳細 20160615 花陽「よーし!漫画家になります!」 花陽 他 詳細 安価・画像有 20160617 花陽「絵里ちゃんとチェスで勝負です」 花陽・絵里 詳細 えりぱな 20160625 花陽「悪徒之木坂学院…?」 花陽・μ’s 詳細 バトル 20160720 海未「穂乃果が好き」ことり「海未ちゃんが好き」穂乃果「ことりちゃんが好き」 花陽・にこ 詳細 バトル 20160907 小料理居酒屋こいずみ第二夜 花陽・ツバサ 詳細 短編 20160927 SS 「小泉花陽も憂鬱」 花陽・μ’s 詳細 SF 20161021 YouTuber花陽「今日は>>3の動画を上げます!」 花陽・μ’s 詳細 安価・コメディ 20160810 花陽「もうダメー!出ちゃうー!!」 花陽・μ’s・アルパカ 詳細 コメディ 20161221 凛「カヨビアの小泉へ!」真姫「ようこそ♪」 花陽・μ’s 詳細 ほのぼの 20170117 花陽「にこちゃんをビート板にしたい!」 花陽・にこ 他 詳細 コメディ・カオス 20180220 凛「かよちんと冬キャンプ!」 花陽・凛 詳細 短編 20180325 あんじゅ「完っ全にフルハウス!」花陽「完全にフルハウスってなんですか?」 花陽・あんじゅ 他 詳細 短編 20180620 海未「やはりバッハを分析するには対位法を勉強した方がいいのでしょうか…」 海未・花陽 詳細 短編・うみぱな 20181008 花陽「米だ米だ米だ米だ米だ米だ米だ米だ米だ」 希「あ…アカン」 花陽・μ’s 詳細 コメディ・カオス 20150402 花陽「お兄ちゃん朝だよっ」 花陽・花陽兄・μ’s 詳細 短編・ほのぼの 20190127 花陽「お兄ちゃん温泉旅行が当たったよっ」 花陽・花陽兄・凛 他 詳細 短編・ほのぼの 20190130 花陽「お兄ちゃん朝だよ………ん?」ピ-ンポ-ン 花陽・花陽兄・ことり 他 詳細 短編・ほのぼの 20190202 【ss】花陽「イトコンニャク研究部」 まきりんぱな・にこ 他 詳細 20140913 「転がる花陽」 花陽・μ’s 詳細 20180108 花陽「どうしたらいいの……」 花陽・μ’s 詳細 短編・ほのぼの 20190712 「はらぺこ はなよちゃん」 花陽・μ’s 詳細 短編・画像有 20190728 SS 小泉花陽はお腹がすいた 花陽 他 詳細 ファンタジー 20190708 花陽「私だけぷにぷにしてるって言われるのが納得いかない!」 花陽・μ’s 詳細 短編・ほのぼの 20190905 SCP-874-LL「食べたい時に食べないと」 花陽 詳細 短編・ホラー 20190910 【SS】女の子という生き物。 ことり・花陽 詳細 ことぱな 20191030 花陽「小泉花陽、世界を食べる」 花陽・希 詳細 ほのぼの・コメディ 20191215 真姫「もしもし花陽?」 花陽『チョコの作り方?』 真姫・花陽 詳細 短編・コメディ・ぱきぱな 20200214 花陽「>>3です」 花陽・にこ 詳細 短編・安価・コメディ 20200302 花陽「ねえ、お兄ちゃん。」 花陽・花陽兄 詳細 ほのぼの 20200529 花陽 「お米の神様」 花陽 他 詳細 短編・コメディ 20201105 花陽 「凛ちゃん、貴重な火だよ!」 凛 「おおっーー!!」 花陽・凛 他 詳細 短編・コメディ 20210415 花陽「歯ブラシって素敵ですよね!」 花陽・海未 詳細 短編・安価・ほのぼの・うみぱな 20160621 花陽「ご飯のお供」 花陽・英玲奈 他 詳細 ほのぼの・えれぱな 20150813 R-18G スレタイ キャラクター 詳細 備考 日付 凛「かよちんの『ちん』の由来は>>4にゃ」 μ’s 詳細 安価・関連作有 20140830
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R「今日の報告書は…」 廊下を足早に歩く一人の青年がいた銀髪に少し小生意気な表情をしたこの青年は さっさと自室に戻って今日の業務を終わらせることで頭がいっぱいだった …コツ…コツ…… R「あーこれもやらなきゃいけないのか!」 と、廊下の角を急いで曲がろうとした時 …ドン!…バサバサ!!! 何かにぶつかって豪快に資料をぶちまけてしまった R「~すみません…急いでいたもので…」 と、相手を見上げようと尻餅をついた体勢を起こそうとしたら聞きなれた声がしてッハとした V「何をあわてている…中尉…」 R「………」 唖然として声が出ない…冷や汗が首を伝ったのがわかった そんな中尉の状態を知ってか知らずかさっさと起きろと 言わんとばかりに撒き散らした資料とついでに中尉を引っ張り起こした R「…!あ…ほ…本当に申し訳ありませんでした!」 われに返って深々と頭をたれた中尉を見て 大佐は中尉が一番今言って欲しくない言葉を放った V「後で私の部屋へ来い…」 R「あの…まだ仕事があるんですが…」 必死に断ることばかりを考え始めた V「…」 少し間があって中尉は内心逃げ切れるかと期待した …ガ!…ドン!! 大佐の右手が中尉の首をつかんで壁に叩き付け股に膝を割りいれた R「あ…ぐ…」 急な展開と恐怖で中尉の目には恐怖の色が見え隠れしていた 割りいれた膝をもちあげられると身長差のせいですごい圧迫感が下半身を襲う V「どうする…今ここでするかそれとも部屋までくるのか…」 耳元で低くささやかれて恐怖はピークに達していた R「う…伺います」 前後の文章が抜け落ちていたが今の中尉にはこれが精一杯だった 拘束を開放され少し青ざめていた中尉に一瞥すると大佐は廊下を曲がっていった これからまたあの苦痛を味わうのかと思うと逃げ出したい 気持ちでいっぱいになる中尉だけを残して…。 中尉は大佐の部屋の前にいたノックする手がなかなか動かせず 下唇をかんで右手を握り締めていた コンッコン… V「入れ」 R「失礼します」 大佐はデスクに寄りかかって資料のような物を読んでいた …どうしたらいいかわからずただ入り口で突っ立ていた中尉に V「何をしている早くこい…」 大佐に言われるままそばまで足を進める、大佐に近づくにつれ 鼓動がどんどん早くなっていってるような気がした 大佐の前まで来たところで V「膝を突いて口をあけていろ」 R「は?」 一瞬意味が分からなかったしかしすぐに大佐の行動で理解した 肩を押されて膝立ちにさせられ大佐のズボンのチャックが おろされるのを目の前で見させられた、口淫を強要されている!? R「え!?あの…」 中尉がパニックに陥っていると大佐は前をくつろげ中尉の目の前に モノを出した、あまりの大きさに中尉は目を見開いていた。 あたふたしている中尉のあごを掴むとグっと力を入れて 無理やり口を開けさせた R「あぐ!」…ズ! 無理やり突っ込まれたせいで吐き気がする R「んん!…う」 頭をひいて逃げようとしたら V「何をやっている…舌を使って丁寧に舐めろ」 顎と頭をがっちりおさえられて中尉は言われるとおりにするしかなかった ッズ…ッズチュプチュプ 嫌な音が耳を突く舌なんてどう使ったらいいかわからない ただ大佐に頭を動かされて出し入れを繰り返す …チュプッチュク どのくらいの時間この行為は繰り返されるのかと思った時 突然髪を引っ張られてズルっと引き抜かれた R「!」ピュ! 顔に白く濁った液をたっぷりかけられて中尉は眉を更に寄せた V「立て」 顎のダルさに少しくったりしている中尉に休む間も与えない大佐は中尉を 立たせるとデスクに突っ伏させた…大佐に腰を突きだした体勢… 中尉はこれから行われる行為に恐怖した、またあの太いモノで突かれる… カチャカチャ…ジー 手際よく中尉のズボンのベルトとチャックを外すと大佐は尻を撫で回した ゾクゾクと悪寒が走る R「…ヒィ!」 V「どうした…中尉…」 大佐の指が中尉の後ろに触れて腰がひけた、大佐は中指をグっと突き入れた R「い!ったぁ」 V「すぐに良くなる…」 ゆっくりと指が抜き差しされる R「ん!っん…」 いつの間にか指の本数は増やされ更に圧迫が増した V「もう少し力を抜け」 こればっかりは中尉にもどうするこもできない小さく呼吸を繰り返す… その時中に差し込まれていた指がックと曲げられた R「んあ…」 初めて中尉の声に色が含まれた、大佐は中尉が反応を示した所を執拗に 刺激し始めた R「っや!やめ…あ…っん!」 V「ここがいいんじゃないのか…?」 大佐は一度指を引き抜いてうっすらと笑みを浮かべた 異物感がなくなってッホっと息をついた でもそれは長くは続かなかった、中尉の後ろに熱いモノが おしあたられ入り口をいじりだした R「っん…」 V「…力を入れるな」 大佐は中尉の腰を力強く押さえつけると一気に突き入れた R「ァアアあああああああ!」 余りの苦痛に中尉は叫び声をあげた V「…っく…」 R「痛い!抜いて!!」 少しでも動かれると裂けそうで中尉は泣き声を出して懇願した 大佐は中尉の気を逸らす為に一度も触れていなかった中尉のモノに手を回した R「…ん!」 驚いて中尉は腰を引いて自ら挿入を深くしてしまった V「動くな」 大佐はゆっくりと手淫をはじめた すすり泣くような声でイヤイヤをしていた中尉のモノは徐々に反応を示した …ッチュッチュくちゅ R「ん…」 大佐は中尉の前をいじっている手とリズムを合わせて後ろに挿している モノを前後に少しずつ動かし始めた R「んっうん…」 痛みがなくなったわけでは無いのに前をいじられているせいか気持ちよさに 自然と声が出る V「…ふん…」 その変化に満足したのか大佐は薄く笑って動きを激しくしていった R「っあっん!んん!」 先ほど指で触れられた場所に大佐の先で突かれると中尉は堪らず身震いした …っはあ…ッハア… R「(気持ちいい…)」 最早中尉には抵抗する気はは無くなっていた …グチッグチュッズ! R「あ!んあ!ん…大佐ァ…もっもう…」 その時ずっと中尉を気持ちよくするために動かされていた大佐の手が ギュっと強く握られた R「!いっいた!」 V「少し我慢しろ」 いきたいのにイかせてもらえない苦痛に眉間にグっと皺をよせた 大佐は抜き差しのスピードを急に早くして自身を追い上げていった R「っや!ああ!」 V「っく!」 中に熱い液体が注ぎこまれてそこでやっと握られていた中尉のモノが 開放され中尉も己の精を吐き出した R「っはあ…ん…ッハア…」 さんざん中尉の中を犯していた大佐のモノが引き抜かれると ドロリとそこから白濁した液が流れ出した
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【本文】 とある修道女と心理学者 祭りの前のとある風景 シスター達はサッカー日和(前半) シスター達はサッカー日和(ハーフタイム) シスター達はサッカー日和(後半) シスター達はサッカー日和(後半)「2」 一方SS 【初出】 とある修道女と心理学者 2010/07/19 SSスレPart8にて連載 祭りの前のとある風景 2010/07/30 SSスレPart9にて連載 シスター達はサッカー日和(前編) 2011/01/03 SSスレPart9にて連載 シスター達はサッカー日和(ハーフタイム) 2011/01/15 SSスレPart9にて連載 シスター達はサッカー日和(後半) 2011/10/01 SSスレPart10にて連載 一方SS 2012/10/12 SSスレPart11にて連載 【著者】 牧田さん 【解説】 牧田さんによる短編集。 行間かSSっぽい雰囲気で、のほほんと展開していくのが特徴。 尚、2010 8/12より連載を続けている『禁竜召式(パラディンノート)』の著者が、 自身が牧田さんと同一人物であるとスレ内で明かしている。
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星の降る夜 船の上のひと時 船の上のひと時・続 焦がれる程愛して ある日の騒動 ある日の騒動・続 ある日の騒動・続の続 一緒にいる時間 病は気から 貴方を求める With,Love
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SSその2 “彼”が飲み物を買いに出て行った選手用ホテルの一室。 少女は一人、彼について考えていた。 ――「次の勝利もまた、そなたに約束しよう」 一回戦の終わりに、彼はそう言ってくれた。 でも。 ――「もし真に相応しき器の持ち主であれば、願いを用いこの剣を捧げることも厭わぬ」 次の次の、さらに次の勝利は、一体誰のためのものなのだろう。 と、そこまで考えた後、首を横に振る。 彼が自分を捨てるなんてありえない。 しかし、その時が来たらもしかして……。 二つの思いが交互に彼女の胸に行き来する。 彼女が経験したことのある“人間との関係性”はただ一つ。 主と従。 ゆえに彼女は見い出せずにいた。 いずれ主の主となるべき王女に対するこのほの暗い感情の正体を。 あるいはただの『未調整のバグ』の延長かもしれない。 (いけません) 気分を落ち着けるため、シャワーでも浴びようかと席を立ったその時、ノックの音が聞こえた。 「はい」 彼女が扉を開けると、筋骨隆々としたオールバックの男が、スーツ姿で立っていた。 間違いない。 彼の二回戦の対戦相手である男だ。 「アナスタシア、だな」 「ええ」 それを確かめると、男はにっこりとして――。 ◆ 「さあ始まりました! グロリアス・オリュンピア二回戦! “戦場跡”での闘いは、井戸浪濠(いとなみごう) 対 暗黒騎士ダークヴァルザードギアス!」 流れるアナウンスに、観客は大きな歓声を寄せる。 だが、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは、それどころではなかった。 キョロキョロと見渡すのは彼の設定ではないのでゆっくりと目線を移動させながら、観客席に目的の人物がいないかどうか探る。 こんな人数の中、見つかるはずがないと思いながら。 「誰を探しているんだ?」 濠が話しかけると、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは逡巡の後に答えた。 「我が侍女が少し前より姿を見せぬ」 それを聞くと濠は口先を釣り上げる。 「君は、大会規定をよく読んだかな?」 「何のことだ?」 「『対戦相手以外に危害を加えた者は失格となる』」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは濠の言いたいことを察し目を見開いた。 この条項には、一つの但し書きが添えられている。 「『ただしサンプル花子を除く』」 「貴様……」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは今にも掴み掛からんという勢いで濠を睨みつける。 しかし試合時間以外での戦闘行為はご法度。 彼は震える腕を押さえなんとか踏みとどまる。 「覚えておくがいい、我が暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードの錆にしてくれようぞ」 ◆ 「ぴんぽんぱんぽ~ん! やっぱりここだけ二人だと不公平なので、 グロリアス・オリュンピア運営本部からリザーバーを一名派遣しました! お二方には“彼女”も含めた三つ巴で戦っていただきます!」 転送直後、やたらと場の雰囲気にそぐわないアナウンスが流れた。 正体不明のリザーバー。 まったく、グロリアス・オリュンピア運営本部ときたら、粋なサプライズをしてくれる。 ただ、そちらも気になるが、まずは目の前の敵だ。 名も分からぬ、戦国時代の合戦場。 二人の男は互いの姿を遠目に認める。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは手近の死体に刺さっていた刀を引き抜く。 暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードの使い手である彼だが、本物の刀剣を握ったのは初めてである。 そのずっしりとした重みに少したじろぐ。 しかし一つ空振りをして気の迷いを断ち斬った。 刃から闇が零れ落ちる。 この時既に刀は暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードと化していた。 『イーヴァルディの砥石』の効果時間を考えると、刀は濠にギリギリまで近づいてからダムギルスヴァリアグラードに変えたほうがいい。 それを思いつかないほど彼は馬鹿ではない。 ただ、彼は愛剣でない刀と戦場を駆けること自体、ダムギルスヴァリアグラードに対する裏切りと信じた。 彼は一つ呼吸をしてから走り出した。 ◆ 「『永劫滅砕・カタストロフ=ディアス』!」 剣が頬を掠める手前で、濠は顔を引く。 「またしても……」 闘いは膠着していた。 濠は避けることに専念しているようだった。 辺りには亡き兵士たちが遺した武器がいくらでもある。 いくらでもダムギルスヴァリアグラードを補充できる。 だが無限ではない。 三分が経つ度、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスに焦りが募る。 試合が動いたのは、そうやって五本目のダムギルスヴァリアグラードを消費しきった時だった。 「わたしも混ぜてくださいな」 突然の少女の声に二人は揃って顔を向ける。 見ればそこには、色素の薄い銀の髪を肩口に垂らした、おっとりとした少女。 華奢そうな身に纏うのは、戦場(いくさば)にそぐわない真っ白なワンピース。 片方の手で、大きなトランクを握っている。 「王……女?」 その少女は、フェム王女と瓜二つであった。 二人は試合開始時のアナウンスを思い出す。 リザーバーの“彼女”とは、フェム王女のことであったのだろうか。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは一歩前に進み出ると、跪いて名乗りを上げた。 「よくぞいらっしゃった、フェム王女。 我はコンビニバイト土屋一郎……!?」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは自分の口から出た言葉に驚き、ショックを受けた。 せっかくあの子が呼んでくれた、その名。 グロリアス・オリュンピアで轟かすと決めた、その名。 それが、名乗れないなんて。 一方、濠の方も動けないでいた。 彼には少女がフェム王女でないことは分かっていた。 なぜなら彼は既に密かに『敢行使命(チャレンジノルマ)』を発動させていたからだ。 濠は一回戦の際、既にフェム王女と名刺を交換している。 あれから名刺の内容は変わっていないので、仮に彼女がフェム王女本人なら、能力が発動することはないのだ。 もう一つ分かることがある。 それは『敢行使命』の発動条件の違いによる。 相手が名刺を持っている場合は名刺同士の位置が入れ替わる形になる。 しかし相手が名刺を持っていない場合、濠の名刺は必ず相手の手元に行く。 見える位置に名刺が現れた様子が無いということは、彼女は自分の名刺を用意してきたということだ。 流石リザーバーとして出てくるだけあり、こちらへの対策もきっちり打ってある。 濠が冷や汗を垂らす。 今、この交換された名刺を読む隙を見せていいものか。 少女はその吟味の暇すら与えてはくれなかった。 「暗黒騎士ダークヴァルザードギアスさん、【わたしと一緒に、井戸浪濠さんを倒してくれませんか?】」 少女の言葉をトリガーに暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの動揺はなぜかいきなり治まったようだ。 「仰せのままに」 彼は虚ろな目をしながら濠の方に向かってくる。 まずい、二対一はまずい。 濠は名刺入れから素早く自分の名刺を取り出すと、能力を発動させ“とある人物”と名刺を交換した。 そしてそれを、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスへと投げた。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスはそれを受け取って目を向けたところで、我に返った。 「アナスタシア……」 それは、濠が暗黒騎士ダークヴァルザードギアスとのタイマンを想定して用意していた、揺さぶりのための切り札。 折を見てアナスタシアから暗黒騎士ダークヴァルザードギアスへのメッセージを送るために、濠が用意した、彼女の名刺。 本来なら濠がモニター越しに合図を送って30秒後に能力を発動させるつもりだった。 それが濠の咄嗟の判断で不意になり、文字を書く暇は与えられなかった。 しかし、その名刺には何よりも強いメッセージが刻まれていた。 落ちたのはついさっきであろう、涙の跡が。 「全く悪いとは思わないが……」 名刺を見つめたままの暗黒騎士ダークヴァルザードギアスに濠が話し掛ける。 この言葉には少女の能力に対する検証の意味も含まれていた。 濠は「悪いが」と言ったつもりであった。 「君の侍女はホテルの私の部屋で匿っているだけだ。危害は加えていない」 「それは真か」 「ああ、なぜなら我々は今そちらの彼女の能力によって“嘘が付けない”状態だからな」 「なっ……!」 能力の一つを看破され、少女は絶句する。 それが何よりの肯定。 「だが、アナスタシアをたぶらかしたことには違いない」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは話を戻す。 嘘を付けない。濠にとって一見不利な状態だが、メリットもある。 今はすべての話を信じさせることができる。 「私は彼女から相談を受けた」 セールスマンは、まずは何気ないトークによって交渉相手との交流を図る。 それは例えば天気の話であったり、コイバナであったりする。 「君が王女サマに取られるのではないかと心配していたぞ」 「それは……」 確かに、この闘いの始まりは王女だったかもしれない。 だが今は。 「彼女は君にとって何なんだ?」 「……大切な者だ」 「王女サマよりもか?」 「……無論だ」 「ならそれを、今も見ている彼女の前で証明してみせるんだな」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスはフェム王女そっくりの少女を見据えた。 「我はアナスタシアに勝利を約束した! なれば、いずれ主君となるそなたと刃を交えることも厭わぬ!」 背中のリュックから取り出した、ダンボール製の暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードを手に、彼は駆け出す。 「ええっ! ちょっと! なんでこっちに向かってくるんですか! 【止まって】!」 しかし彼女の“お願い”はもはや暗黒騎士ダークヴァルザードギアスには通用しなかった。 仕方なく、少女は手を変える。 「ま、『護れ』!」 叫ぶ少女の前に、突如金属製の盾が現れる。 暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードが弾かれる。 「そうです、そのまま……『襲え』!」 盾が少しずつ千切れ多数の槍となって暗黒騎士ダークヴァルザードギアスを襲う。 またこの手の攻撃か。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは少女との距離を開け、槍を十分引き付けてから、横回りでかわす。 アナスタシアとの特訓の成果だ。 攻撃が外れたことを受け、少女は次の手を打つ。 「『壊せ』」 攻撃的な台詞に、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは身を構える。 しかし、少女が狙ったのは彼自身ではなかった。 金属の槍が襲ったのは、戦場に多く転がる刀。 彼らの周囲のそれらが、ことごとく破壊される。 「これで、あなたはもう武器を補充できません」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは何も答えず、少女の元へ走る。 「『護れ』」 「『疾風突撃・ギルガ=アーク=ヴァイラス』!」 残りの二分ほど、彼は剣を叩きつけ、突き、薙ぎ、とにかく我武者羅に当たっていった。 だが、その分厚い盾を突破することは叶わなかった。 「暗黒騎士」 そこに濠が呼びかける。 「こいつが必要だろう」 見れば、濠はペットボトルを逆さまに掴んでいた。 ああ、いかにも剣っぽい。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスがこくりとうなずく。 「待ってください。井戸浪さんは暗黒騎士さんの味方をするんですか!」 少女が抗議の声を上げる。 「私は水を売りたいだけだ。戦闘に加わるつもりはない」 少女は納得いかない、という風に膨れる。 濠は構わず続けた。 「このリュックの中身全部だ。いくら出せる?」 突然の値段交渉。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスはキョドルる。 自分で決めろというのか。 いくらが適正なのだろうか。 「い、いちまん……」 「100万円です!」 そこに、少女が割り込んできた。 「わたしが100万円で買い取ります」 「そうか、分かった」 えっ、そっちに売っちゃうの!? 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスはしょうがなく、震える声を絞り出す。 「ご……5億……だ…………」 二人が一斉に彼の方を向く。 「我は……この大会で全ての試合に勝利を収める。 なれば、その優勝賞品とやらをここで使ってやっても惜しくは……ない」 「なるほど、では君に……」 えっ、そっちに売っちゃうの!? 確実に後払いだし、回収できるか分からないのに。 少女は焦って口を挟む。 「ではわたしは5億5000万出します!」 最も魅力的な戦いをした者に送られるという5000万円、それを少女は上乗せしてきた。 対する、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは。 「ならば、我は6億5千……」 当然、ベストバトル3試合分を上乗せしてくる。 が、彼はそれだけでは終わらなかった。 頭の中に預金通帳を思い浮かべ、 「たしか……7万……」 さらにモッズコートから財布を取り出し、開く。 「8万……6億5008万、3千……2百……16円! 6億5008万3216円だ!」 少女は暗黒騎士ダークヴァルザードギアスのその台詞に圧倒された。 「6億5000万円」と言うことは虚勢を張れば誰にでもできる。 だが、「8万3216円」。おそらく彼の持つ全現金。 これを失えば来月の家賃の支払いすらままならない。 それを口に出すことができる者がどれだけいるというのか。 少女は高い桁の方ではなく、あくまで現実的なその下位五桁に言葉を奪われた。 「決まりでいいか」 少女は黙ってうつむくしかなかった。 本当のところ、最初の100万円すら彼女に工面できるかどうかすら怪しかった。 少女は王女ではなく、王宮製の人工魔人の一人でしかないのだから。 最初の一本が、濠から暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの手に渡ろうとする。 「『阻め』」 その瞬間を、エプシロン産の金属睨天鉄(エプシリウム)が襲う。 すんでのところでペットボトルを掴んだ暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは直ちにそれを暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードに変え、振り払った。 睨天鉄は人工のものに対して強く、自然のものに対して弱いという性質を持つ。 故に睨天鉄の塊はペットボトルを容易く破壊した。 しかし中の水は『イーヴァルディの砥石』によって一緒に暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードと化し、ペットボトルの形を保ったままであった。 そしてミズリーの『おいしい水』は100%天然水! よって、今度は睨天鉄の方が打ち砕かれる番だった。 剥き出しの水の剣を、高らかに掲げた。 魔人・土屋一郎の能力『イーヴァルディの砥石』は、それと認識したものを暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードと化す能力。 決して自身を暗黒騎士ダークヴァルザードギアスとする能力ではない。 なぜそうならなかったのか。 彼は分かっていたのだ。 憧れた暗黒騎士ダークヴァルザードギアスには、自力でならなければ意味がないのだと。 「我は……暗黒騎士ダークヴァルザードギアス!」 今度こそ、その名を名乗り上げる。 少女は叫んだ。 「どうしてです! わたしを見ている間は嘘はつけない、そういう道理(ルール)のはず……!」 それは、嘘ではない。 「我は邪法の元に生まれし高貴なる暗黒騎士」 それは、信念。 「道理に従う理由などなし!」 彼は少女に向かって真っすぐに駆け出す。 「うっ、『襲え』!」 「『清廉潔白・アクエリオ=イノセンス』!」 暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードが襲い来る睨天鉄を残さず叩き落とす。 少女は決意した。 彼に追いつかれる前に……トランクを開ける。 中には数十の宝石。 その中から一つを手に取った。 既に暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは少女の目の前に迫っている。 彼女は勢いよくワンピースの前をまくり上げた。 下には何も着けておらず、生まれたままの肌が風に晒される。 お腹には先ほどと同じ形の三つの宝石が埋め込まれており、くぼみがひとつあった。 「【やめて】!」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは思わず手を止めてしまった。 仕方ないよね。彼女いないんだもの。 どこかのホテルの一室で「むぅ……」という唸り声が聞こえた気がした。 その隙に少女は手に取った宝石を残りのくぼみにはめた。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスが手を止めたのは一瞬。 再びダムギルスヴァリアグラードが少女を襲う。 彼女は慌ててトランクをバタン!と閉じる。 すると、彼女はトランクごとその場から掻き消えてしまった。 ◆ ハローワールド。意識の覚醒は良好。 わたしは、与えられた体を確認します。 さっきまでよりもちょっとゴツゴツとしています。ほんのちょっとです。 触ってみると肌はやっぱり硬いです。 それに、なんか「ついてる」っぽいです。 ええ、男の子ですね。 鏡が無いので確かめられないのが残念ですが、わたしのことだからきっと美少年なんでしょう。 世の中には男性であってもこういう肉体の方が劣情を催す人もいるらしいです。なにそれこわい。 ふう。さあみなさんお待ちかねのあの台詞行きますよ、さんはい! ……ばっっっっかじゃないですか!? いえ、この体のことではないです。 これは独空ゆうきさんの『一人分の双子』の効果です。 メンタリティが変わっていないのであまり別人という気はしないのですが、ともかくわたしが“弟”ということでしょう。 それではなく。 馬鹿なのはあの二人のほうです。 強敵だとは思っていました。 五賢臣に最も早く推薦された方と、最も強く推薦された方ですからね。 だからきちんと対策してきたのです。 自分への嘘を力にする暗黒騎士さんと、嘘を武器にする井戸浪さん。 “正直伯爵”さんの『走れ正直者(ラン・ローラ・ラン・トゥルー)』はうってつけのはずでした。 それに加えて暗黒騎士さんを取り込むため、花浦小春さんの『お砂糖とスパイスと素敵な何か(ハニートラップ)』です。 参戦経緯からわたしのモデルである王女にちょっとは気があるんじゃないでしょうか。 八剱聖一さんの『墜放騎士の栄光』はわたし自身が睨天鉄のカタマリなので相性ピッタリです。 さらにはいざというときのための空きスロット。 さすがわたし、完璧な布陣なんじゃないでしょうか。 それを……それを…… なに妄想で洗脳打ち破っちゃってるんですか! なに真実縛りで暗黒騎士さんをコントロールしちゃってるんですか! アナスタシアさんもアナスタシアさんで、なに乙女見せてくれちゃってるんですか! 所詮、紛い物のわたしじゃ、ついていけない闘いだったんでしょうか。 作り物の生命。 にせ物の精神。 借り物の能力では。 『我は……暗黒騎士ダークヴァルザードギアス!』 『私は水を売りたいだけだ』 『自分が他の誰でもなく、誇るべき自分自身であると断言するように――自分の能力を、全力で揮える。 そんな光景を、いつかこの目で見ることができれば、私(わたくし)の中を流れる日本人の血も、きっと歓喜に震えてしまうのでしょうね』 二人の台詞と、ついでに聞いたことのないはずの王女の演説がリフレインします。 いいですね、誇るべき自分自身がある人は。 わたしなんてどうせ…… 「イヤ……です」 思いの他低い声が出てびっくりですが、とにかく、不快な気持ちになりました。 わたしは確かに作り物でにせ物で借り物かもしれないですけど、 それでもあの時「面白い」と思った感情は、わたしだけのものです。 誰にも渡しません。 「予選落ちしちゃった人たちの戦い」をフェム王女に見せる。 そんな唯一無二(二人になっちゃって何言ってるんでしょうって感じですが)の役割を与えられたのです。 わたしはわたし、他の誰でもない、恵撫子(えぷし)りうむです! ええ、やる気になってきましたよ。 わたしはシャツの裾をたくしあげます。 そこには、『一人分の双子』の宝石と、新たな三つの空きスロット。 取説には四つ以上の能力を使おうとするとやばいことになるなんてありましたが、構うもんですか。 どうせりうむは、最初からブッ壊れているんですから……。 ◆ 「あれはフェム王女ではない」 少女が消えたことでひと段落ついたと感じ、濠は名刺入れを取り出した。 「『恵撫子りうむ』、『グロリアス・オリュンピア二回戦リザーバー』だそうだ。 最小限の情報だけしか載っていないとは、本当に用意がいい」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは濠の一言一言に真意を見極めようと睨みつけて聞いている。 構わず濠は続けた。 「言葉をトリガーにする能力かもしれないと思ったが、どうも効果が多すぎる」 嘘を封じる、相手を操る、不思議な金属を操る、さらにはワープまでする。 「制約はあるかもしれないが、現状“なんでもできる”と思っておいた方がいい」 「そのような相手に、抗う術はあるのか」 「……私に考えがある」 嘘である。 考えなどない。 これは暗黒騎士ダークヴァルザードギアスを敵にしないための台詞でしかない。 「これを渡しておこう」 ペットボトルが一本、濠から暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの手に渡される。 その瞬間。 光の矢がペットボトルを貫き吹き飛ばした。 「なっ!」 二人は矢が飛んできた方向を向く。 そこには一つの陣地があった。 中から射てきているのだろう。りうむの姿は見えない。 二の矢が飛んでくる前に、濠は素早く背中から新たなペットボトルを取り出して暗黒騎士ダークヴァルザードギアスに投げつける。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスがペットボトルをキャッチしたのと次の矢が飛んできたのは同時だった。 矢は彼の方を狙っていた。 が、遠くから直線で狙い撃つだけの矢など速くとも簡単にかわせる。 どうやら一本ずつしか使えないのだろう。 それも含めて余裕の回避を見せた暗黒騎士ダークヴァルザードギアスであるが、ふと違和感を覚えた。 こんな不毛な攻撃を、わざわざやってくるだろうか。 一射目ならまだしも、手の内を見せてしまった後に? そして、一回戦の阿呂芽ハナとの闘いを思い出した。 「還り来るぞ!」 言うが早いか、彼は濠の背後に回る。背中合わせの形だ。 思った通り、光の矢はUターンしてきた。 矢が本当に狙っていたのは、濠の背負うリュック。 ダムギルスヴァリアグラードのストックの方だった。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは、ペットボトルを暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードに変え、光の矢を弾き飛ばした。 息をつく暇もなく、今度は濠の正面に、見知らぬ少年が突如として現れた。 『敢行使命』を試してみるが、発動しない。 ならば考えられる可能性は少ない。 「君はおそらく……恵撫子りうむ本人!」 少年は答えず、既に引き絞っていた矢を放つ。 殺気の“価値”の高まりを感じて濠は横に大きく飛び退く。 必然、矢の向かう先は暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの背。 声と動きから大体の状況を察した彼は振り向きながら暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードを払う。 しかし完全に防ぎきることはできず、手の甲に傷を負ってしまった。 「くっ……」 その間に、少年の姿が変わっていく。 体が大きく膨れ上がり、体色はドス黒く塗りつぶされてゆく。 全長三メートルほどの、暴力の化身。 それが大きく腕を振り上げる……。 先ほどとは比べ物にならないくらいの攻撃オーラのハイパーインフレを肌で感じた濠は、 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスに向かって飛び付き、化け物から引き離す。 次の瞬間、見えない速さで腕が振り下ろされ、遅れて風の音が唸った。 「あれを喰らったら、即死だろうな」 「かたじけない……」 ところが、二人が恐ろしさを感じている一方で、化け物もまたなぜか苦しんでいるようであった。 我武者羅に腕を振り回す化け物。 相変わらず速いものの、今度は目で追える程度の速度である。 「なんだか分からんが、今がチャンスのようだ。私がおとりになるからその隙に……」 二人揃って駆け出す。 化け物が濠を掴みにかかろうとした隙に、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスが跳ぶ。 「『震撃……断絶』!」 「オオオオオオオオオオオオオ!!!」 「『ダムストラスト=グラヴィティ』!」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの剣は……空を切った。 化け物は雄叫びを上げた瞬間、またしても忽然と消えてしまった。 ◆ 「はぁ……はぁ……」 わたしに戻ったわたしはどっと疲れてその場に崩れました。 “弟”の分のダメージはフィードバックされないようですが、記憶は残るので精神的にはとてもやばいです。 七つも能力を使ったので、自慢のエプシロンボディから睨天鉄がうにうに飛び散ろうとしています。こわい! 「……『鎮まれ』」 『墜放騎士の栄光』でなんとか体をごまかします。 それにしても酷いじゃないですか。 生まれたてのわたしに対して、大の成人男性が二人掛かりなんて。 だから、なるべく強力な能力を選ばせてもらいました。 安倍川アオイさんの『オレンジスカイアロー』、ジャックダニエル・ブラックニッカさんの『ヴィオェンセ』、そしてプランク・パーセクさんの『我に届かぬ物は無く、また我に触れる者は無し』です。 最後の能力は超音速パンチに使いましたが、やはり祝詞無しでは代償が厳しかったようです。 さて、説明パートみたいになっていますが、実はわたしがいるの、二人のすぐそばなんですよね。 見ている方向が違うのでまだ気づかれてないんですが、あまり時間は掛けられません。 そうですね、この作戦で行きましょう。 「『伸びろ』!」 ◆ りうむ(姉)の声に二人は振り向いた。 しかしそこにりうむ(姉)の姿は無く。 「うおっ!」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの立つ地面がそこだけ隆起していく。 睨天鉄の柱が現れたのだ。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは慌ててペットボトルを取り落とす。 さらに、目の前に再び化け物が出現する。りうむ(弟)だ。 りうむ(弟)が腕を振り上げる。 当たれば一撃必殺。腕を振る開始位置と到達位置の間の距離を無視した超音速パンチ。 それが急激な足場の変化に体勢を崩した暗黒騎士ダークヴァルザードギアスを襲う。 絶体絶命。 かと思われた。 が、腕が通りすぎるギリギリ直前に暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの体は下に落ちていった。 自分で飛び降りられる状況ではなかったはずだ。 ではなぜ。 その答えは、柱の下で濠が持っていた“水の剣”にあった。 そう、『イーヴァルディの砥石』でダムギルスヴァリアグラードとなった物体は、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの手を離れても、時間が切れるまではダムギルスヴァリアグラードのままなのだ。 濠はそれで柱を斬り落としたのである。 そして水の剣は役割を果たしたと言わんばかりに地面に滴っていった。 りうむ(弟)が追撃に出る。 衝撃波で傷を負った暗黒騎士ダークヴァルザードギアスに向けて腕を振り下ろす。 彼は何とか横に転がり、これを回避した。 大きな音が地に響き、またりうむ(弟)の姿が消える。 代わりに元の場所に現れたりうむ(姉)は、二人が状況を飲み込む前にささやくような声で言った。 「『隔てよ』」 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスと濠の間に睨天鉄の壁ができる。 りうむ(姉)が取り込んだのは、濠の方であった。 「こっちで、よかったのか?」 濠が問う。 「水は井戸浪さんから一本ずつ暗黒騎士さんに渡されていましたから、先に補給路を絶つべきだと考えました」 「なるほどな」 「【降参してくれませんか?】 なんて、あなたには効かないんでしょうけど」 「洗脳か? 確かに降参したくはならないが」 『お砂糖とスパイスと素敵な何か』は能力者への好意が前提にある。 濠に使うことが難しいのは最初から分かっていた。 「ま、どちらにしろ、“ハズレ”だったな」 「それは、どういう……!」 言いかけてりうむ(姉)は気付いた。 睨天鉄の壁に、ヒビが入っている! 「や……【やめて】!」 りうむ(姉)の必死の“お願い”にも、今度は止まらなかった。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは、水の剣を携え、壁の向こうから現れた。 彼はいつペットボトルを手に入れていたのか。 それは、りうむ(弟)が初めて現れる直前、濠と背中合わせになった時である。 この時は彼も気付いていなかったが、濠はこっそりと彼のリュックに水を一本移していたのだ。 りうむ(姉)が叫んだことによって、りうむ(弟)が交代で現れる。 が、りうむ(弟)はすぐに膝をついた。 能力使用数の上限突破による悪影響は、りうむ(弟)にも平等に降りかかっていた。 ただ『ヴィオェンセ』の巨体の体力が、その影響を押しとどめていただけなのである。 (見せるん、です。あのクソ王女に、“わたしの”……闘いを!) 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスがりうむに向かって駆ける。 りうむは光の矢を宙に放った。 矢は軌道をコントロールすることができる。遊ばせておけば、いつでも使用可能な切り札だ。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスが接近すると、りうむは腕を振るった。 「『剛腕絶無・ゼロ=イグニス=ニルヴァーナ』!」 暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードに斬られるのも厭わず、殴り抜ける。 軽いめまい、動悸、息切れがりうむを襲う。睨天鉄の暴走と合わせると今にも意識が飛びそうだ。 りうむはしかしそれを必死で押しとどめる。 チャンスなのだ。 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの利き腕がだらりと垂れ下がり、ペットボトルを取り落とす。 (今です!) りうむは暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの体を掴んだ。 そして、遊ばせておいた矢の軌道を定める。 『我に届かぬ物は無く、また我に触れる者は無し』。 矢は、距離の概念を吹っ飛ばし、たどり着く。 それはまさに光。 その光こそが、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの体を貫いた。 「ああああああああああああああ!!!」 今まで経験したことのない痛みが彼を襲う。 「ア、ナ……」 最後の声を絞り出し、最愛の侍女の名を唱える。 彼の意識はその途中で途絶えた。 (王女……やりました……わた、し……?) 一方りうむの方は耐えられるはずだった。 祝詞を省いた代償、先ほどの拳の傷、睨天鉄の暴走、全てを勘定に入れても大丈夫だと思っていた。 その胸の傷さえなければ。 そこには、暗黒瘴気剣ダムギルスヴァリアグラードと化したあるものが刺さっていた。 丸められた名刺である。 (そう、井戸浪さんの能力……全然気にしていませんでしたが) この時のために濠が暗黒騎士ダークヴァルザードギアスと名刺を交換していなかったのだとしたら。 「初めから、わたしたちの、相打ち、狙い……だったのですね」 「言っただろう、戦闘に加わるつもりはないと」 「そのわりには、随分暗黒騎士さんに、肩入れしていたようですが」 「直接手は出していない」 そう言うと、濠は暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの体を漁り、財布を取り出した。 「あるだけもらっておく。残りは出世払いだと伝えておけ」 「……ふふ、わかりました」 りうむはそう言って、目を閉じた。 ◆ 「そうか、彼はそのようなことを」 医務室で一足先に目を覚ましたわたしは、復活した暗黒騎士さんに井戸浪さんの台詞を伝えました。 わたしはエプシリウムのカタマリで、普通の人間さんとは体の構造なんて全然違うはずなんですが、なんだか治せてもらえちゃったみたいです。 って、なんでですか! もう準決勝に進めないんだから、素直に機能停止させてください! わたしはこの先一体なんのために生きればいいのでしょう。 そんなことをぼんやり考えていると、医務室に来客がありました。 「ってええーっ! 王女……様!」 まさかまさかです。実は生で見るのは初めてなのです。 本当にわたしそっくりですね。いえ、そっくりなのはわたしのほうなのですが。 心なしかアナスタシアさんが暗黒騎士さんを掴む力が強くなったような気がします。 「りうむ、あなたには大変な役割を押し付けてしまったようね」 まったくですよ! わたしにはもっと王宮でぬくぬくするような生活が似合っているのです! 「これからは王宮でぬくぬく暮らすといいわ。皆歓迎するわよ」 「いやです!」 ごめんなさい、嘘です。わたしはもうぼんやりおっとりな女の子ではありません。 「面白い」を知ってしまいましたから。 「わたしは、世に出ます」 暗黒騎士さんがぴくりと反応しました。 世に出る、と書いて出世ですね。 「我々も、もっと広い世界に旅立たねばならぬということか」 そうですよー。コンビニバイトでどうやってアナスタシアさん養うんですか! せめて正社員になりましょう! 「りうむ、でも、私が見ていないところで大丈夫なの?」 「王女様に見られたら、わたしの能力減っちゃいますから!」 「そう……」 あーもう! なんでそんなに心配するんですか! お母さんじゃないんですから! 「とにかく! わたしは旅に出たいんです! 世の中の面白いことを、もっと見つけたいんです!」 「……ええ、わかったわ。でもたまには帰って来てね」 だーかーらー! ま、まあ、ともかく。わたしの人生は始まったばっかりです。 Hello, World. またどこかで、会いましょう。 ◆ ホテルの与えられた一室で、濠は昔を思い出していた。 何もできない新人だった日のこと、魔人能力に目覚めた日のことを。 彼が新卒で入ったのは名もない中小企業だった。 ある日彼はとある大手企業に取引を持ち掛けにいく。 門前払いだった。 挨拶すらさせてもらえなかった。 「あいにく名刺を切らしておりまして」 ところがそうのたまった担当は、濠の目の前で別の大手企業の相手と名刺交換を始めたのだ。 濠は大学で学んだ自分の営業知識に自信を持っていた。 名刺さえあれば、名刺さえあればあんな奴……。 その強い願いが生んだのが『敢行使命』であった。 だが、その考えは間違いであった。 営業は知識だけではない。 人の心を理解する力、肉体の力、商品そのものの力。 あらゆる力が必要で、それを知る度、濠は営業の道にのめり込んでいった。 彼はこれからも、売ることを続けていく。 次の闘いでも。 ◆ おまけ:恵撫子りうむ使用能力まとめ キャラクター名 性別 特殊能力名 プロローグSS プロローグ文字数 “正直伯爵”&大正 直 不詳 & 男性 『走れ正直者(ラン・ローラ・ラン・トゥルー)』 & 『嘘八百万(ヤオヨロズライ)』 プロローグSS 2435 花浦 小春 男の娘 お砂糖とスパイスと素敵な何か(ハニートラップ) 『花浦小春プロローグ ~オ●●ノコは、お砂糖と、スパイスと、素敵な何かで出来ている~』 4705 八剱聖一 男性 墜放騎士の栄光 プロローグSS 5917 独空 ゆうき 女性(可変) 一人分の双子 プロローグSS 7386 安倍川アオイ 女の子? オレンジスカイアロー プロローグSS「安倍川アオイ完結編」 30064337 ジャックダニエル・ブラックニッカ 男 ヴィオェンセ プロローグSS 5763 プランク・パーセク 女性 我に届かぬ物は無く、また我に触れる者は無し プロローグSS 1541